腹筋は腰痛に注意
引き締まったボクサー体型になるためには、6つに割れた腹筋を手に入れる必要があります。そのためには、腹筋を鍛えることが必須です。しかし、腹筋トレーニングで腰を痛めてしまう人は少なくありません。
そこでここでは、腹筋で腰痛になる理由や防ぐポイント、正しい腹筋トレーニングのやり方などについて解説していきます。
腹筋で腰痛になる理由
一般的に腹筋運動と言えば、仰向けの状態から上体を起こす運動を指します。このトレーニングでは、たしかに腹筋は鍛えられます。しかし、同時に腰痛になる原因も作ってしまうのです。
原因の一つは、腹筋以外を使ってしまうことです。上体を少し起こし、そこからさらに床と垂直になるくらいまで起こす際には、腹筋はほとんど使われません。代わりに背骨と大腿骨をつなげる「大腰筋」が使われます。
しかもたいへん大きな負荷がかかるため、筋肉を守るために大腰筋の働きをストップさせ、筋肉を硬くして動かなくしてしまいます。この凝り固まった大腰筋が原因で、腰痛が引き起こされます。
さらに、脊椎が圧迫されて椎間板に圧力がかかることも腰痛の原因になると、アメリカの研究でわかっています。椎間板への強い圧迫は、椎間板ヘルニアを発症させる危険性を高めます。
そのため、カナダの軍隊や日本のバスケットボール協会では、腰痛の原因になる一般的な腹筋運動は推奨していません。
腹筋を鍛えながら腰痛を防ぐためには、次のようなポイントを押さえることが重要です。
腰痛を防ぐポイント
腹筋の鍛錬と腰痛予防を両立させるためには、まずはできるだけ関節を動かさないこと。そしてある程度腹筋の力が強くなったら、腰を反らせない腹筋運動をすることです。
おすすめの腹筋の鍛え方には次のようなものがあります。
正しい腹筋の鍛え方
腰を傷めずに腹筋を効率的に鍛えられる種目には、「クランチ」「プランク」「レッグレイズ」があります。
クランチ
一般的な腹筋運動は、仰向けの状態から上体を完全に起こす「シットアップ」のことを指します。しかしシットアップのような上体を起こす運動の場合は、前述したように大腰筋に大きな負荷を与えたり、椎間板を圧迫する恐れがあります。
そのため、上体をあまり起こさないで腹筋を鍛える「クランチ」がおすすめです。
クランチのやり方は、まず仰向けになり両膝を曲げます。次に両手を後頭部に当てます。この状態から、肩甲骨を床から離すイメージで腹筋を使って頭部を持ち上げます。
この時お尻から腰、背中の下部までしっかり床に着いていることを確認してください。背中全体を床から離してしまうと、腰痛になる恐れがあるためです。
このトレーニングを、初心者の場合は1日20回×3セット行います。慣れてきたら回数とセット数を増やします。
プランク
「プランク」は、関節を動かさずに腹筋や背筋、そして体幹部を鍛えられる種目です。そのため腰痛は発生しにくい特徴があります。
やり方は、まずうつ伏せになり、肘を床につけて上体を持ち上げます。プッシュアップ(腕立て伏せ)では手の平を床につけますが、手の平の代わりに肘をつけるのがプランクです。
上腕と床が垂直になるように肘の位置を調整しましょう。肘から肩が床と垂直になり、さらに肩から背中、お尻、かかとが一直線になっていることを確認してください。体幹部が弱い人は、これだけで体がプルプルと震えるはずです。
プランクはクランチと違い、動きをつけずにこの体勢を維持するトレーニングです。そのため、鍛えていることを実感しにくいかもしれません。しかし、体幹を鍛える種目として多くのプロスポーツ選手も取り入れている効果の高いトレーニング法です。
負荷に慣れてきたら肘の位置を前方に移動します。床に接している肘とつま先の距離が長くなるほど負荷が高くなります。初心者は30秒、慣れたら1分以上維持できる体勢でトレーニングを行ってください。
レッグレイズ
「レッグレイズ」は、強化しにくい腹筋の下部を鍛えるための種目です。
やり方は、まず仰向けに寝ます。そして足をゆっくり上げ、床との角度が45度程度になる所で止めます。そこで5~10秒維持したら、ゆっくりと戻します。
ポイントは、動作を遅くすること、腰を丸めないようにすること、そして腰を反らせないことです。動作を遅くすることで、腹筋にかかる負荷が増えます。
また足を上げすぎて腰を丸めたり、足を速く下ろして腰が反ったりしてしまうと、背骨が圧迫されて腰痛になる危険性があります。そのため、肩からお尻までは完全に床についた状態で、ゆっくりとトレーニングするように心がけることが大切です。
まとめ
腹筋運動はプロスポーツの分野はもちろん、部活動でも必須のトレーニングでした。ただしそれは以前の話です。現在は腰痛を引き起こす運動として、多くの分野で推奨されなくなっています。
しかしボクサーのような割れた腹筋を作るためには、腹筋を鍛えなければいけません。そのためには、今回紹介したような腰痛を引き起こしにくいトレーニングを続けることをおすすめします。
クランチで腹筋の上部を、レッグレイズで下部を、そしてプランクで体幹全体を継続して鍛えることで、引き締まったモテボディを作ることができます。